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『猫ヶ原』武井宏之の新境地!戦国時代のハードボイルドノラ猫アクション

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「シャーマンキング」の新作が連載されているようですね。

これまで集英社の雑誌で連載し、「機巧童子ULTIMO」や「ユンボル」などの異色の作品を生み出してきた武井宏之先生ですが、新作が始まるのはまさかの講談社。

人気作品が出版社を変えて継続、新作を開始するのは「聖闘士星矢」しかり「金色のガッシュ」しかり前例はありますが、まさかマガジン系列での連載とは思ってもみなかったです。

そこで今回は、武井宏之先生が講談社に移籍して描かれた、短期の連載作品「猫ヶ原」を紹介します。

作者は武井宏之先生。「少年マガジンエッジ」にて連載しておりました。(全5巻。2018年5月時点)

猫が暮らす戦国の世

物語の舞台は、猫たちが暮らす戦国時代。この世界に存在する猫は、ヒトに飼われ富を得る飼い猫と、自由に生き享楽にふけるノラ猫の、2種類に分かれています。

戦国の世で勝利を収めた城主であるヒトによって土地は支配され、その城主である飼い猫の立場はノラ猫よりも格上。ノラ猫たちは高い年貢の取り立てに苦しむ日々を送っていました。

※【コマ引用】「猫ヶ原」(武井宏之/講談社)1巻より

主人公である刀をぶら下げた隻眼の侍、ノラ千代は、現在はノラの身であるものの、かつては飼い猫として名のある権力者に飼われていた身。その時の名残として刀には飼い猫の証である鈴がついています。

自分の主を殺した、赤武者という亡霊にたたられながら、自分の死に場所を求めて旅を続けるノラ千代。彼の前に立ちはだかる邪魔なものは、とにかく斬る、ぶった斬る、たたっ斬る。

※【コマ引用】「猫ヶ原」(武井宏之/講談社)1巻より

正義にも悪にもならず、自分の本能のままに生きる彼の、自由な生きざまが豪快なタッチで描かれています。

猫の生態が入り混じった世界観

基本的に、本作の登場キャラクターは猫のみ。人間の暮らしに似せて描かれてはいますが、その生活の中には実際の猫の生態が織り込まれています。

茶屋で水を飲むノラ千代。看板娘が出してくれた器は、湯飲みではなく平たい皿。猫たちはそれをなめるように飲むのでした。

※【コマ引用】「猫ヶ原」(武井宏之/講談社)1巻より

猫たちの間では、マタタビが麻薬と同じようなものとして扱われており、それを使って金を稼ぐ、麻薬王のような存在も登場します。

※【コマ引用】「猫ヶ原」(武井宏之/講談社)1巻より

また、トイレも江戸時代にあるような肥溜め的なものに近しいですが、ネコ砂を用いています。これだけ見ると臭かったらしい江戸のトイレより清潔に見えますけどね。

※【コマ引用】「猫ヶ原」(武井宏之/講談社)1巻より

ハードな世界観ではあるものの、ネコの要素が混ざることで若干チャーミングにも見えてきます。

主人公としてあるまじき汚さ

本作の特徴として挙げられるのは、主人公、ノラ千代の主人公としてあるまじき、汚い生き方でしょう。

正義にも悪にも染まらず、自分が気に入らないものはただひたすらにぶった斬る。生きることに執着し、どんな手段を使ってでも相手を葬ろうとするその姿は、とてもヒロイックなものではありません。

ノラ千代は、前述した麻薬として扱われているマタタビを常用する、立派なヤク中。赤武者の幻覚を見るのもそのせいなのでしょう。麻薬を売りさばいている雨村ショー斗から奪い取っていきます。

※【コマ引用】「猫ヶ原」(武井宏之/講談社)1巻より

正義の美剣士、濃江獅子若に命を狙われ、瀕死の重傷を負うノラ千代。死にそうになりながらも、獅子若に報復するために選んだ方法は、トイレの中に潜み、かぎ針状に削った棒を尻の穴に刺すこと。

※【コマ引用】「猫ヶ原」(武井宏之/講談社)1巻より

今の今までトイレの中に入ってケツの穴に棒を刺す主人公が存在したでしょうか。ここまで下劣なことができるキャラクターもなかなかいないでしょう。

おわりに

いかがだったでしょうか。

本作の連載は残念ながら終わってしまいましたが、今年はシャーマンキング生誕20周年。

新作「シャーマンキング ザ スーパースター」の連載も始まり、初代シャーマンキングの完結版が講談社から刊行されることも決まっています。

武井宏之先生の今後の活躍に期待しながら、是非とも「猫ヶ原」も併せて読んでみてください。

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